活動の記録

日本語学術誌(査読付)

【学術論文】小中学生の学力とGritの関連―遺伝環境構造から

心理学研究者との共同研究に参加し、「パーソナリティ研究」誌にショートレポートが出版されました。小中学生の双生児データを利用し、学力(こどもの機会均等研究センターで開発)とGrit要素(根気と興味)の相関と、Gritへの遺伝・共有環境要素の寄与を分析しました。根気への共有環境要因の寄与は、小学生では確認できたが中学生では確認できず、年齢により、Grit の遺伝環境構造が異なることが分かりました。山口天音(帝京大学)、敷島千鶴(帝京大学)、川本哲也(慶應義塾大学)、安藤 寿康(慶應義塾大学)との共著です。
国際学術誌

【学術論文】Cross-national Differences in Socioeconomic Achievement Inequality in Early Primary School: The Role of Parental Education and Income in Six Countries

AERA Open誌 (American Educational Research Association) に国際共同研究の成果の掲載が決まりました。この論文は、15歳時点の国際学力比較調査では家庭背景尺度(SES)と学力水準の相関の強さが異なる六カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、オランダ、日本)を対象に、各国の6-8歳時期の調和のとれたデータを使用し、親の学歴・世帯所得という、2つの代表的なSES尺度と子どもの読み書き能力の関連の強さを計測しました。用いられた日本のデータは日本子どもパネル調査(JCPS)です。他の5カ国と比較して、日本は15歳時点でも6-8歳時点でも、親の学歴と世帯所得が子どもの学力に与える影響は小さいこと、しかし両者を比較すると、親の学歴の影響が大きいことがわかりました。他にも国により顕著な特徴があり、それぞれの国の社会的・制度的背景を踏まえた解釈が議論されました。Jascha Dräger, Elizabeth Washbrook, Thorsten Schneider, Renske Keizer, Anne Solaz, Jane Waldfogel, Sanneke de la Rie, Yuriko Kameyama, Sarah Jiyoon Kwon, Kayo Nozaki, Valentina Perinetti Casoni, Shinpei Sano, Alexandra Sheridan, Chizuru Shikishimaとの共著で、日本からは、佐野晋平、野崎華世、亀山友理子、赤林が参加しました。JSPS-ORAプロジェクトの成果です。
東京

【寄稿・論文】奨学金政策を理解するための経済理論の基礎

IDE 現在の高等教育「高等教育の無償化を問う」2024/6 No661に「奨学金政策を理解するための経済理論の基礎」を掲載しました。
以下のリンクは、最終校正前の原稿です。内容の正確さは保証しません。参考までに利用してください。

関連ファイル

国際学術誌

【学術論文】School ICT resources, teachers, and online education: Evidence from school closures in Japan during the COVID-19 pandemic

Education Economics誌より、コロナ禍の日本で学校ICTと教員のICTスキルが果たした役割に関する論文の出版決定しました。国の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」データを市区町村別に集計し、コロナ禍において、学校ICT設備が充実した学校ほどリモートによる授業や連絡を行ったこと、教員のスキルが高い学校ほど残業が平均的に少なかったことが確認できました。これは、日本における学校ICT設備と教員のスキルの効果を因果的に検証した初めての論文になります。ミルカ・ズベデリーコバー(大阪大学)、田口晋平(慶應義塾大学・JICA)との共著です。
国際学術誌

【学術論文】The Rate of Return to Early Childhood Education in Japan: Estimates from the Nationwide Expansion

Education Economics誌より、日本における幼児教育の内部収益率の新たな推定値を示す論文を出版しました。日本で1960年から1980年にかけて、幼児教育が全国的に拡大したことを踏まえ、高校卒業率と大学進学率、全国の賃金統計、政府の財政資料を利用して、男性の就学前教育に対する社会的収益率を計算しました。結果として、就学前教育の社会的収益率は5.7%から8.1%の範囲でした。田中隆一(東京大学)との共著です。
国際学術誌

【学術論文】Causal Effect of Parental Reading on Later Development of Children: Demonstrating a Bayesian Approach

British Journal of Developmental Psychology 誌より、ベイズ推計の応用として、乳幼児期の読み聞かせがその後の認知能力の指標とどの程度関係あるか、英国の長期追跡データを利用して検証しました。繁枡数男(慶應義塾大学・客員)、古野公紀(立命館大学)、池本駿(ジェイック・慶應義塾大学産業研究所共同研究員)との共著です。
国際学術誌

【学術論文】Student Loan Debt and Family Formation of Youth in Japan

Studies in Higher Education 誌より、奨学金負債が若者の家族形成に与える影響を検証した論文を出版しました。貸与型奨学金は高等教育進学の下支えとなる一方で、負債としての側面から若年者のライフイベントへの影響が懸念されてきました。「パネルデータ設計・解析センター」(PDRC)と「こどもの機会均等研究センター」(CREOC)が共同で収集した「JHPS第二世代付帯調査(JHPS-G2)」データを用いて、我が国で始めて、貸与型奨学金が婚姻および出生に与える影響を、全国データにより分析しました。その結果、特に2年制高等教育を受けた女性において、貸与奨学金を受給したグループは受給していないグループに比べ、結婚のタイミングが遅く、子供の数も少ないなど、奨学金の家族形成への影響が定量的に明らかになりました。このことは、奨学金制度の設計において、家族形成への影響に配慮することの重要性を示しています。王杰(慶應義塾大学)、佐野晋平(神戸大学)、小林雅之(桜美林大学)との共著です。
国際学術誌

【学術論文】Inequalities in Resources for Preschool-age Children by Parental Education: Evidence from Six Advanced Industrialized Countries

European Journal of Population誌に国際共同研究の成果の掲載が決まりました。この論文は、異なる社会福祉制度タイプを代表する六カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、オランダ、日本)からの調和のとれたデータを使用して、親の教育による3~4歳の子どもの資源の不平等に関する新たなエビデンスを提供しました。用いられた日本のデータは21世紀出生児縦断調査(2010)です。特に日本の特異性として、子どもいる母親の就業率が学歴でほとんど差がないことから、集団型保育施設(保育園)の利用にも親の社会経済的背景(SES)による差がほとんどありませんでした。Jane Waldfogel, Sarah Jiyoon Kwon, Yi Wang, Liz Washbrook, Valentina Perinetti Casoni, Melanie Olczyk, Thorsten Schneider, Lidia Panico, Anne Solaz, Sabine Weinert, Anna Volodina, Sanneke de la Rie, Renske Keizer, Kayo Nozaki, Jun Yamashita, Yuriko Kameyamaとの共著で、日本からは、山下絢、野崎華世、亀山友理子、赤林が参加しました。JSPS-ORAプロジェクトの成果です。